ひだまりソケットは壊れない

ソフトウェア開発に関する話を書きます。 最近は主に Android アプリ、Windows アプリ (UWP アプリ)、Java 関係です。

まじめなことを書くつもりでやっています。 適当なことは 「一角獣は夜に啼く」 に書いています。

発表資料: Android アプリ開発における Gradle ビルドシステム (京都 Android 勉強会 2014.08)

去る 8 月 23 日に株式会社はてな主催で行われた Android アプリ開発の勉強会 「京都 Android 勉強会 2014.08」 にて、Android アプリ開発と Gradle について喋ってきました。

Android Studio ではビルドシステムとして Gradle が採用されていますので、今後 Gradle を使う人は増えていくと思います。 Android Studio でビルドをするだけであればそれほど Gradle に詳しくなくても問題ないわけですが、せっかくなのでいろいろ便利に使っていきましょう、という主旨の発表でした。

発表内容は下のような感じで、Gradle を使ったことがない人にも 「Gradle でこういうことができる」 というのが伝わるように喋ったつもりです。 また、後半の方は Gradle を使って Android アプリのビルドをした人でも触ったことがない人もいると思いますので、Gradle を使っている人にも参考になったかもしれません。

  • Gradle と Android アプリのビルド
  • Gradle や Android Gradle plugin の機能の一部を紹介
    • ここら辺は知らなくても問題なく開発できるはずではあります
  • AAR パッケージについて
  • Gradle プラグインについて

勉強会では、Cookpad の @rejaspotaro さんが 「debug ビルドの時だけデバッグに便利なメニューを表示するようにしている」 とか、「社内でいくつか Gradle プラグインを作って便利に使っている」 という話を先にされていたので、そこら辺とからめて Gradle の話ができたのも良かったところです。

質疑内容

会場で 2 つほど (確か 2 つ) 質問がありましたので、ここにも書いておきます。

Gradle wrapper の更新

Gradle wrapper を使う場合、Gradle のバージョン更新はした方がよいのか、という質問でした。

Android Studio のバージョンアップにともなって必要な Gradle のバージョンも変わってきますので、Android Studio のバージョンアップに合わせてプロジェクト内の Gradle (Gradle wrapper) のバージョンも更新する必要があります。 最近の Android Studio では、Gradle のバージョンが古い場合に警告を出してくれて、GUI 上でぽちぽち操作すると自動的にバージョンが更新されるはずです。

Gradle の欠点

発表資料の中で 「Groovy のことを理解するまでデバッグ等が大変」 と書いていますが、それ以外に不便な点などはあるか、という質問でした。

Gradle 自身の欠点というわけではないですが、Eclipse での Android アプリのビルドと比べて、一部を変更してビルドし直すというのが Android Studio でのビルド (あるいは直接コマンドライン上で Gradle を使った場合のビルド) では時間がかかってしまうというのがあります。 私は今のところあまり細かい変更でビルドし直すということをしないようにすることでなんとかしていますが、UI の変更などでは細かく調整したいということもあってなかなか不便ということでした。

Gradle をオフラインモードにすると速くなるという話もあります。 (ちゃんと試してません。)


Docker 入門 #1 — Windows に Boot2Docker をインストールして既存イメージを扱ってみる

Docker 使えるようにならないとなー、ということで、まずは Docker を使える環境を準備して、ユーザーガイドをちょっと読んでみた。 既存イメージを使ってコンテナの生成をするなどの操作をするところまで。 完全なる入門者向け (あるいは自分用) だけどメモしておく。

Docker のバージョンは 1.1.2 を使用した。

Docker についての参考文献

そもそもの Docker についての説明はこのエントリでは行わない。 次の記事が参考になる。

Windows での Docker 環境の構築

Windows ユーザーでない場合はそれぞれの環境用のインストールガイドを参照のこと。

Docker Engine は Linux カーネルの機能を使用しているので、Windows の上に直接 Docker 環境を構築することはできない。 VirtualBox なりなんなりで仮想マシンとして Linux マシンを Windows 上に起動する必要がある。

Boot2Docker というアプリケーションが Docker より提供されているので、(Docker Engine 用の仮想マシンを立てるつもりなら) これを使うのが便利である。 Boot2Docker を使うことで、VirtualBox 上に Docker 環境用の仮想マシンをインストールし、Docker デーモンを走らせることができる。

Boot2Docker のインストールで VirtualBox もインストールできるようなので、まだ VirtualBox をインストールしていない人でもいきなり Boot2Docker をインストールして良い。 次のエントリも参考になる。

使い方

「Boot2Docker Start」 というのがスタート画面のアプリケーション一覧に追加されているはずなので、これをクリックする。 すると、VirtualBox に Docker 用の仮想マシンが登録されて、Linux のインストールなどが実行される。 そして仮想マシンが起動して、そこに SSH 接続される。

この仮想マシン上で docker コマンドを使い、Docker コンテナを作ったりする。

また、インストール時にパスを通すかどうかのオプションを選択できるが、パスを通しておけば boot2docker コマンドが使えるようになる。「Boot2Docker Start」 を使わなくても、PowerShell を開いて boot2docker コマンドを使うことで、仮想マシンの操作ができる。

他のコマンドは boot2docker --help で調べられる。

Docker を使ってみる

ユーザーガイドに従って Docker を使ってみる。 これ以降は、基本的に boot2docker ssh して、仮想マシン上でコマンドを実行するものとする。

ユーザーガイドとは別にオンラインチュートリアルもあって、こっちの方が最初は良いかもしれない。

アプリケーションの Docker 化 (?)

docker run コマンド
$ sudo docker run ubuntu:14.04 /bin/echo 'Hello world'
Hello world

上のようなコマンドを実行すると、何やらダウンロードしてきて、最終的に 「Hello world」 が出力される。 何をしているかというと、「ubuntu:14.04」 というイメージからコンテナを新たに生成し、そのコンテナ上で 「/bin/echo 'Hello world'」 というコマンドを実行している。

指定されたイメージは、まず Docker ホスト上で探される。 そこで見つからなければ、Docker Hub 上で探される。 今回の場合、「ubuntu:14.04」 というイメージは Docker Hub からダウンロードされる。

新たに生成されたコンテナは、指定のコマンドを実行し終えると停止 (?) するようである。 (コンテナ自体は残っている。 後で出てくるが、docker ps コマンドに -a オプションを渡すと、停止しているコンテナも表示される。)

-t オプション *1-i オプション *2 を渡すことで、対話型コンテナを立ち上げることもできる。

-d オプションでコンテナのデーモン化ができる。 docker run -d ... コマンドを実行すると、長い文字列が表示される。 これはコンテナ ID である。 コンテナの名前は (明示的に指定しなければ) 自動的につけられる。

docker ps コマンド

docker ps コマンドで、実行中のコンテナの情報が表示される。 コンテナ ID やコンテナ名などが確認できる。

上で書いたように、-a オプションを付ければ停止中のコンテナも表示される。

docker logs コマンド

docker logs {container} コマンドを使えば、コンテナ内部の標準出力を表示できる。 {container} としては、コンテナ ID とコンテナ名のどちらかを指定できるっぽい。

docker stop コマンド

docker stop {container} コマンドを使えば、動いているコンテナを止めることができる。

コンテナの扱い方

バージョン確認

docker version コマンドで、Docker クライアントと Docker サーバーのバージョン情報が表示される。 Go のバージョンや Git コミットのリビジョンも表示される。

Docker クライアントのコマンド一覧

オプションなしの docker コマンドで、docker コマンドが受け付けるアクション一覧が表示される。 各アクションについては、docker {action} --help コマンドでヘルプを表示できる。

コマンド一覧については Web 上のヘルプを参照してもよい。

Web アプリケーションを Docker 内で動かす
$ sudo docker run -d -P training/webapp python app.py

上記コマンドで、トレーニング用の web アプリケーションを Docker 内で動かすことができる。 「training/webapp」 というイメージは Docker Hub からダウンロードされる。

-P オプションは、コンテナ内部で必要なネットワークポート (exposed port) をホストのそれにマップするように Docker に伝えるためのものである。 上のコマンドを実行した後、docker ps -l コマンド *3 を実行すると、PORTS の項に以下のような表示が出るはずである。

PORTS
0.0.0.0:49155->5000/tcp

ローカル Docker ホストの 49155 ポートが、コンテナの 5000 ポートにマップされていることがわかる。 コンテナ側のどのポートを露出させるかを指定する方法は、後で (イメージ作成方法のところ) で説明される。 ホスト側のポートは 49000 から 49900 の間 (high port と表現されている) から自動的に選ばれる。

-P オプションの代わりに、docker run コマンドに -p {container_port} オプションを渡すことで、コンテナの指定のポートをホスト側の high port にマップすることもできる。 -P オプションは、コンテナの exposed port をホストの high port にマップするものであるが、-p オプションはコンテナ側の指定のポートが exposed port かどうかは関係ないようである。

また、-p {host_port}:{container_port} という形式で、コンテナの指定のポートを、ホストの指定のポートにマップすることもできる。

ちなみに、Windows 上で Boot2Docker を使っている場合は、WindowsPowerShell 上で boot2docker ip コマンドを実行することで、Docker ホストの IP アドレスを取得できる。

docker port コマンド

docker port {container} {private_port} コマンドで、指定のコンテナの指定のポートがどのポートにマッピングされているかを知ることができる。

Web アプリケーションのログ表示

docker logs コマンドの -f オプションは、tail コマンドの -f オプションのようなものである。

コンテナのプロセス

docker top {container} コマンドで、指定のコンテナのプロセス一覧を見ることができる。

コンテナの詳細

docker inspect {container} コマンドで、指定のコンテナの詳細情報を JSON 形式で得ることができる。

さらに、-f オプションを使うことで、特定の情報のみを取りだすこともできる。

$ sudo docker inspect -f '{{ .NetworkSettings.IPAddress }}' nostalgic_morse
172.17.0.5
コンテナの再起動

停止されたコンテナは、docker start {container} コマンドで再度起動できる。 実行中のコンテナの再起動は docker restart {container} コマンド。

そういえばコンテナが停止される際に、コンテナ内のプロセスがどうなるのか、とか、再起動時にはどうなるのか、とかわかってない。

コンテナの削除

停止されたコンテナは docker rm {container} コマンドで削除できる。

そういえば同僚が 「要らなくなったコンテナのごみ掃除が大変だ!」 とか言ってたけど、これのことなのかなー。

今回はここまで

既存のイメージを使うところまではこんな感じ。 さらにイメージをビルドしたりする話が続くけど、それはまた別のエントリに。

*1:新しいコンテナ内に pseudo-tty または terminal を割り当てる。

*2:コンテナの標準入力に引っ掛けることで対話型のコネクションを張る。

*3:「-l」 オプションは、最後に開始されたコンテナの情報を表示するためのオプション。

【告知】 来週土曜日 「京都 Android 勉強会 2014.08」 開催 & Gradle のことを話します

来週土曜日 「京都 Android 勉強会 2014.08」 開催

来週土曜日 8 月 23 日の午後 3 時から 「京都 Android 勉強会 2014.08」 が開催されます! 株式会社はてな主催です。 タイトル通り Android アプリ開発に関する勉強会です。

きしださんがいらっしゃいますし、Android アプリ開発に関する実践的な話もいくつもありますので、興味深い勉強会になると思います! 関西圏で Android アプリ開発をしている方は是非いらしてください!

Gradle のことを話します

私も Gradle や Android Gradle plugin などの話をする予定です!

先日 beta 版がリリースされた Android Studio では、ビルドシステムとして Gradle が採用されています。 Android アプリ開発でも Gradle を触る機会が増えた今、Gradle に関する知識はある程度持っておく必要があります。 「Gradle のことはよくわかんないけど、Android Studio が自動生成してくれるビルドスクリプトにちょっと追記して使ってるよー」 という人向けの入門的な話から、「Gradle のことはそこそこわかってるけど、そろそろ自分でプラグイン書いたりしたいなー」 といった人向けのプラグインの作成周りなどの話まで、ある程度広い範囲の話をしようと思っています!

再度になりますが、是非是非いらしてくださいっ!

読んだ: アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

開発手法としてスクラムを取り入れているチームに所属しているが、アジャイルスクラムといった手法についてあまり知識を持っていないソフトウェアエンジニア、という立場で本書を読んだ。 本書のカバー袖には 『企業の経営層に向けてソフトウェア開発手法の 「アジャイル」 とその手法の一つである 「スクラム」 を体系的に解説する』 とあるのだが、経営層に限らず、アジャイル的な開発手法を採用して開発プロセスを改善していこうとする人であれば、誰にとっても有益だと思う。

アジャイル開発については、ウォーターフォールとの比較として 「小さなサイクルを回して変化に柔軟に対応しながら開発を進める」 という程度の理解しかなかったので、本書を読んで 「人が知識を運ぶ」 とか 「人と人のコミュニケーションで知識を伝える」、「顧客と協調して開発を進める」 といった、どちらかというと社会的な活動やその意義についての部分が非常に参考になった。

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

本書は 3 部構成になっている。 第 1 部 「アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か」 では、ソフトウェア開発手法であるアジャイル開発について、どういうものなのか、なぜそれが必要とされたのか、といったことが説明される。 そして、アジャイル開発の枠組として、スクラムについても詳しく説明される。

アジャイル開発については、「ウォーターフォールのように要件定義や設計、実装という各作業で開発プロセスを分断するのではなく、小さなサイクルを回して完成を目指す」 (すなわち、包括的なドキュメントより動くソフトウェアを重視し、計画に従うだけでなく変化に柔軟に対応していくことを重視する) というものだと思っていたのだけれど、それだけでなく、「個人と対話」 や 「顧客との協調」 といったことにも価値を置く価値観が根底にある、ということを知れたのが良かった。 この価値観は、「アジャイル宣言」 に述べられている。

また、朝会 (デイリースクラム) やプランニングポーカー、アジャイル開発の各種プラクティスについても説明される。 プラクティスとしてはアジャイルの右翼 (開発環境) に属するものと左翼 (チーム環境) に属するものがあり、それらをうまく組み合わせてアジャイル開発の目的である 「ビジネス価値」、「顧客満足」、「市場創造」 といったことを達成する。 ここら辺のプラクティスについては、軽く紹介されるだけという感じなので、実際に現場で実践するのであれば詳細は別の書籍などで学ぶと良いと思う。 次のようなスライドもある。

2 部では、実際にアジャイル開発を導入した国内の 3 社 (リクルート楽天富士通) の事例が紹介される。

3 部では、現在のアジャイル開発では明示的に言及されないような、企業経営とリーダーシップの側面から、アジャイル開発の考察がなされる。

個人的に気になった内容

アジャイルの各種プラクティス

プランニングポーカーは 1 回やったことがあるけど、ちゃんとしたやり方を知らなかったので 「なるほどー」 という感じで読んだ。 他のプラクティスについては大体知ってたけれど、いくつか新しい発見があった。

  • プランニングポーカー
    • 最初にベースラインを決める。 メンバー全員が知っているあまり大きくないタスクを選ぶ。 → こないだプランニングポーカーやったとき、最初のタスクは適当に数字を出してて 「こんなんでいいのかなー」 と思ったりしてた。
    • 見解は一番大きい数字と小さい数字の人が言う。 → 数字が合わなかったら全員が言うものだと思ってたけど、確かにそれだと時間かかりすぎるし、最大と最小の人が言えば良さそう。
    • 3 回で切り上げ。 → まあそんなものか。
  • 朝会でプロジェクトの外部の人の発言するタイミングを制限する。 → 外部の人が、自分がリスクを取るわけでもないのに気軽に口出しする、というのを防ぐ意味。
    • プロジェクト内の人をブタ、外部の人をニワトリと呼ぶことがある話。 ハムエッグを作るのにブタは自分を生命をかけるが、ニワトリは自身の生命に関わらない貢献の仕方をする。
    • ブタとニワトリの話、会社の人もしてた。
  • タスクかんばんのタスクは 2、3 時間程度で終わる粒度が良い。
    • 今のプロジェクトでもタスク粒度には悩んでる。
    • タスクが動くことで進捗状況の共有。 さらに達成感にもつながる。 1 日で動くようなタスク粒度にすべきとのこと。
  • バーンダウンチャート
    • 進捗状況の確認のための質問は 「完了までにあと何ポイント (理想時間) 必要か」 にする。 「何パーセント完了したか」 や 「残り何パーセントか」 ではない。
    • 作業が進むにつれて、見積もりよりも実際に必要な作業が多いことがわかったりするので、残り作業時間を把握すべき。
  • スプリントで完了できたポイント数をベロシティとして、スプリントあたりに進めることができるタスク量の目安とする。
    • 工数をポイントで見積もった場合に、実時間とどう変換するのがいいんだろうなーと思っていたけれど、実時間と変換するよりはスプリントあたりに進めることができるポイント数を把握してれば良い、という感じか。
  • スプリントの成果物はリリース判断可能なもの。
  • ユーザーストーリーには詳細な仕様は書かない。
    • あえてコミュニケーションを発生させる意図がある。
    • これに限らず、アジャイル開発では文書などで伝えられる 「形式知」 だけでなく、「暗黙知」 というところにも焦点を当てている。 人と人とのかかわりで伝えられる知識。
  • ペアプログラミング
    • 15 分おきにぐらいでペアを交代する。 開発のメリハリやリズム。 → 15 分がいいのかどうかわからないけど、まあそれぐらいかなーという気はする。
    • リスクが大きい作業や、クリエイティブな作業はペアで行った方が効率的。 → 設計とかも、設計をきっちり書いてレビューしてもらって大きな直しが発生する、というような状況になるぐらいなら最初からペアでやった方が良さそう。

事例

各社、それぞれ課題があったり良い取り組むをしていたりして興味深い。 他社がやってるからといって表面的に真似ても意味はないけど、どういう考えで各取り組みをしたのかが書かれているので、そこら辺がだいぶ参考になる。

リクルート
  • バーンダウンチャートに上限線を引く。
    • 予めバッファを持たせて、上限線を引いておく。 実績線が上限線を超えそうになったら要件の調整を行う。
    • 上限線を引いておくことで、要件の調整に対して事業部側の理解を得やすい。
  • 出世魚型のドキュメント。
    • ドキュメントは開発フェーズをまたいで使いまわし、更新していく。
    • ドキュメント作成の工数削減と、ドキュメントが分散して齟齬が発生することを防ぐ。
    • 言葉で聞いたら、さもありなん、という気はするけど、実際のところドキュメントどうするかって結構難しい問題ではある。
  • 最初はワンチームマインドの醸成に苦戦した。
    • 見積もりのずれに対する認識。 事業部側は見積もりは初期から変わらないという認識。
    • 意識の変革と共有。 地道な啓蒙や説得。
  • 会議からの持ち帰りの禁止。
    • 「持ち帰って検討」 が開発スピードを遅らせる。
    • 持ち帰って 100 % の精度で回答するのではなく、80 % の精度でいいのでその場で回答する。
    • 残り 20 % に起因する手戻りが発生しても、お互いに怒らないように。
    • 精度を求めすぎて時間がかかる、というのは避けるように自分も意識してはいるけど、それでも時間をかけて検討することは結構多いので、もうちょっとスピード重視に振ってもいいかもなーとか思ったり。
楽天
  • 割り込み作業が多いという問題。
    • スクラムマスター経由で依頼してもらうようにして、優先度などをスクラムマスターが調整。
    • こういうのはスクラムマスターの仕事として重要なものの一つなのだなー、と今のプロジェクトでも感じてる。
  • 新撰組の旗を立ててチームの共通認識にする。 目に見える形になっていることの重要性。
    • 「俺たち新撰組みたいだよな」 というような話をチームでしていて、そこから旗を立てたらしい。
    • こういう、チームの結束を高めるための取り組みの事例はいろいろ聞くけど、じゃあ自分のところは何かできるか、っていうと難しいよね。 旗立てればいいってものでもないし。
  • 横やり作業もタスク化する。
    • 必ずしもそれがいいかどうかはわからないけど、自分が何しているのか共有するためにプロジェクト外のことをタスクかんばんに乗せるのは一つの手ではあるなー。
富士通
  • チーム内は完全ペア作業。 教育効果。
    • 人数が多く人の出入りも激しいので、教育効果の高いことをする必要がある、という感じみたい。
    • ある程度少人数で固定のメンバーでやるなら、いい感じのところでペア作業すれば良さそう。
  • チーム間の Try 共有。
    • 振り返りで出てきた Try をチーム間で共有することで、チームとしての成長を共有する。
    • こういう取り組みはいいなーと思った。
  • 文書で伝えたつもりが伝わってないということもある。 文書ではなく人が情報を運ぶという意識。
    • 後でも出てくるけど、こういう 「暗黙知」 も重視する姿勢がアジャイルっぽい感じだなーと思った。

アジャイル開発とスクラム

アジャイル開発で重要そうなトピック。

  • 多層学習と多能力学習。
    • 個人、チーム、部、会社、という様々な層で学習が起こる。
    • チーム内にエンジニアやデザイナ、営業、といった様々な専門スキルを持つ人間がいるので、自分の専門外のことも学習する。
  • 暗黙知形式知、両方の形式が重要。
    • SECI モデル。 暗黙知形式知にする (文書化) ことで複数形式知をまとめたりできるし、さらにそうしてできた形式知暗黙知として人が取り込む、みたいな感じのモデル。
    • 自転車に乗る乗り方、みたいな体でわかることが暗黙知
    • 暗黙知は人と人が直接やり取りすることで伝えられる。 アジャイル開発ではこういう人と人のやり取りが重要視されていると感じる。
  • 実践知リーダー。
  • PDCA (計画、実行、検査、適応) サイクルの前に共同化。
    • 計画は形式知からくるもの。 イノベーションにはもっと主観的な動機が伴っているはず。 それを共同化 (チームメンバーとの共有) する。
    • 何を作るか、ではなく、なぜ作るか、という思い。
    • 合宿の意義もここにある。

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

OnEditorActionListener を使って EditText への Enter キー入力やアクション入力をハンドルする

EditText への Enter キー入力を検知して何か処理をしたい、ということを調べてみると、TextView.OnEditorActionListenerTextView#setOnEditorActionListener メソッド で設定すればよいというようなブログ記事がいくつか見つかる。

editText.setOnEditorActionListener(new TextView.OnEditorActionListener() {
    @Override
    public boolean onEditorAction(TextView v, int actionId, KeyEvent event) {
        // ... 処理 ...
        return false;
    }
});

ただ、ここら辺の記事を読んでも (一番下の記事以外は) onEditorAction メソッドの第 2 引数 actionId が何であるかや、第 3 引数 eventnull になりうることについての言及がなかったりして情報として不十分だったので、調べたことを書き残しておく。

TextView#setOnEditorActionListener メソッドとは

Javadoc には次のように書かれている。

Set a special listener to be called when an action is performed on the text view. This will be called when the enter key is pressed, or when an action supplied to the IME is selected by the user.

TextView | Android Developers

すなわち、Enter キーが入力されたときや IME に提供されているアクションが選択されたときに呼ばれるコールバック処理を設定するものである。 アクションについては後述する。 コールバック処理は TextView.OnEditorActionListener#onEditorAction(TextView v, int actionId, KeyEvent event) メソッド として記述される。

引数の actionId は、選択されたアクションを識別するための ID である。 Enter キー入力の場合は EditorInfo.IME_NULL になる。

第 3 引数 event には、Enter キー入力の場合にのみ null でない値が渡される。

また、Enter キー入力の場合には、キーダウン時とキーアップ時の 2 回 onEditorAction メソッドが呼ばれるようである。

アクションとは

IME に提供されるアクションについては、次のドキュメントに書かれている。

EditText複数行を受け付けない場合に、多くのソフトウェアキーボードでは Enter キーの代わりにアクションボタンが表示されるようである。 デフォルトでは 「Next」 や 「Done」 が表示される。 EditText 要素の android:imeOptions 属性を使って、「Next」 や 「Done」 ではなく 「Go」 や検索ボタンを表示させることもできる。

上で説明した TextView#setOnEditorActionListener メソッドを使うことで、次のような感じでアクションをハンドルできる。

editText.setOnEditorActionListener(new TextView.OnEditorActionListener() {
    @Override
    public boolean onEditorAction(TextView v, int actionId, KeyEvent event) {
        boolean handled = false;
        if (actionId == EditorInfo.IME_ACTION_DONE) {
            // ... なんかの処理 ...
            handled = true;
        }
        return handled; // このメソッド中でアクションを消化したら true を返す。
    }
});

IME については詳しくないのでわからないのだけれど、『Most soft input methods provide a user action button in the bottom corner』 って書かれているので、おそらく IME の実装次第ではアクションボタンが提供されないこともある気がする。

あと、当然ながらハードウェアキーボードしかない場合はユーザーがアクションを実行することはできない。

OnEditorActionListener#onEditorAction メソッドについてのプラクティス

  • Enter キー入力以外では、第 3 引数 eventnull になるので、気を付ける必要がある。
    • アプリケーション側でアクションを指定していなくても (例えば android:imeOptions="actionNone" を指定していても)、IME の実装によっては勝手にアクションをユーザーに提供することもある *1 ので、eventnull になり得ないつもりでコードを書いてはいけない。
  • ソフトウェアキーボードの Enter キー入力では OnEditorActionListener#onEditorAction メソッドが呼ばれないことがある。
  • 結論として、「EditText での Enter 入力時に (改行させずに) 何か処理をするようにしたい」 という場合、次のようにすべきだと思われる。 *3
    • EditText 要素の android:inputType 属性を設定し、複数行入力をできないようにする。
    • EditText 要素の android:imeOptions 属性に actionNone 以外の値を設定し、IME にアクションを提供する。 (あるいは独自のアクションを指定するとか。)
    • onEditorAction メソッドでは、アクションを受け取った場合の処理 (ソフトウェアキーボード用) と Enter キー入力を受け取った場合 (ハードウェアキーボード用) の両方の処理を書いておく。
      • このとき、Enter キー入力については onEditorAction メソッドが 2 回 (action=ACTION_DOWN と action=ACTION_UP) 呼ばれる可能性を考慮してコードを書いた方が良さそう。 (どういう条件でそうなるかはわかってないけど、1 回しか呼ばれないこともあれば 2 回呼ばれることもあるっぽい。)
    • IME の実装次第ではアクションボタンが表示されず、Enter キー入力では onEditorAction メソッドが呼ばれないということもありうると思うので、onEditorAction メソッドが呼ばれなくても次に進むための方法をユーザーに与えておくべき。 (「検索」 ボタンを配置しておく、とか。)

挙動については確証がない部分もあるけど、上のような感じで実装すれば問題はないはず。

Android Pattern Cookbook マーケットで埋もれないための差別化戦略

Android Pattern Cookbook マーケットで埋もれないための差別化戦略

*1:Nexus 7 (2013 年版) の 「英語 (米国) Google キーボード」 で確認した。

*2:Nexus 7 (2013 年版) の 「英語 (米国) Google キーボード」 を使っている場合、Enter キー入力ではコールバックメソッドが呼ばれないことを確認した。

*3:以下ではレイアウト XML 中に属性として記述する方法を書いているが、Java 上で同様のことをするようにしても良い。